医師監修 美容コラム

シワで悩む人がボトックス注射を行う際に注意すべきデメリットとは?

シワで悩む人がボトックス注射を行う際に注意すべきデメリットとは?

目尻や眉間、額などのシワに悩んでいる人に向けた治療法の一つに、「ボトックス注射」があります。
ボトックス注射は、皮膚を切らずに治療ができるため、比較的気軽に受けられる治療法です。芸能人の中にも、ボトックス注射を受けていると噂される人が何人もいます。
しかし、気軽に受けられるからと言って、まったく危険性がないわけではありません。ボトックス注射を受けることを決める前に、しっかりと注意すべきデメリットも把握したうえで判断するようにしましょう。

ボトックス注射とは

そもそもボトックスとは、ボツリヌス菌が産生するタンパク質「A型ボツリヌストキシン毒素」のこと。ボツリヌス菌自体は食中毒の原因になるなど、人体に悪影響を及ぼすほど毒性が高いのですが、治療に使われているものは生理食塩水で薄められ、安全性を高めています。

ボトックス注射には筋肉の動きを抑える作用があるため、ボトックス注射を気になる部位に注入すると、筋肉の収縮によってできる表情ジワを減らすことができます。注入にかかる時間は5分程度で、注入後2日から1週間ほどで効果があらわれ、効果は4~6カ月ほど継続します。

使用される部位は、目尻、眉間、額、鼻根部、あご、口角などです。できたシワはもちろんですが、シワになる前の予防としても使われています。

ボトックス注射のメリット

ボトックス注射のメリットは、施術にかかる時間が短く、メスを使わずにとても細い針で施術するため、顔に跡が残る心配がないこと。芸能人を含め、治療を受けた人数が多いという実績もあります。
ちなみにボトックス注射は、シワ治療のほかにも、小顔になりたい場合や、たるみを改善したい場合、わきが・多汗症治療にも利用されています。小顔については、特にエラが張っている人に効果があり、エラに注入するとエラの動きを弱めて徐々に筋肉を落とし、頬がシャープになって小顔に見えるようになります。多汗症など汗の多い部位の皮内に直接注射することにより発汗量を減少させることも可能です。また、たるみについては、特にあごから首、ほうれい線の横、目の下に効果があり、微量のボトックスを皮膚の浅いところに注射することで、筋肉の表面繊維の働きを弱め、たるみを目立たなくすることができます。
ボトックス注射の使用は、眉間の表情じわへの適応で、2009年に厚生労働省から認可を受けています。それ以前には、眼瞼痙攣や片側顔面麻痺、痙性斜頸への適応でも認可を受けている、安全性の高い医薬品です。また、FDA(アメリカの食品医薬品局)でも、医薬品として認可を受けています。

ボトックス注射のデメリット

シワで悩む人がボトックス注射を行う際に注意すべきデメリットとは?
① 訓練を受けていない医師の施術では、表情に違和感が出る可能性がある

ボトックス注射はメスを使う治療よりも手軽に受けられますが、筋肉の動きに作用することから、顔の筋肉が動きにくくなり、表情に違和感が出るといったトラブルが起こることがあります。例えば、ほうれい線に誤った打ち方をした場合、頬の筋肉が緩み、力いっぱい笑っても表情筋がほとんど動かず、笑っているのかさえ判断が難しいほど不自然な笑顔になってしまった例も報告されています。

ひどい場合には顔の部位が変化してしまうこともあるため、治療を手掛ける医師には、筋組織や神経、脂肪などについての十分な知識、適切な注入量や注入部位を適切に判断できる高い技術が求められます。安心して治療を受けるためには、ボトックス注射のトレーニングを受けている医師を選びましょう。

また、出回っている薬剤には粗悪なものもあるようです。できるだけ信頼できるクリニックを探して治療を受けることが望ましいですが、初めてのクリニックを利用するという人などは特に、インターネットの口コミも全面的に信用できない分、クリニック選び、医師選びは難しそうです。

② 継続する必要性がある

ボトックス注射の効果は長くて半年ほどです。そのため、シワが改善した状態を維持したいと考える場合は、継続的にボトックス注射を行う必要があります。施術を継続することも考えると、それだけ費用は嵩みます。また、注射するときは毎回、①で述べたようなトラブルが起こる危険性も付きまといます。
ただ、費用面でのデメリットはあるものの、前回思うようにいかなかった部分のやり直しや修正が可能になり、定期的に行うことでよりしわが目立ちにくくなる効果があります。

③ 一定の条件下で、重篤な副作用が起きる可能性がある

ボトックスは神経毒素であるため、重症筋無力症や筋萎縮性側索硬化症などの神経筋接合部に障害がある場合、重篤な副作用が起きる可能性があります。また、過去にボツリヌス菌が原因で食中毒を起こしたことがある人も同様に、副作用が起きる可能性があります。

ボトックスは筋肉の動きを緩和する働きがあるため、呼吸器に機能障害を持っている人には、施術後に呼吸困難を起こす危険性があります。

海外では妊婦がボトックスを摂取し、胎児が死亡した例が報告されています。そのため、妊娠している人や妊娠の可能性がある人、授乳中の人は受けることができません。また、妊活中の人も治療後3カ月は治療を受けられないはずなので、医師に相談するようにしてください。

まとめ

ボトックス注射は、しわ、たるみの改善、小顔、多汗症、ふくらはぎを小さくする、肩こり解消など多岐にわたる悩みに効果があり、メスを使わずにできることから、気軽に受けられそうなイメージがあるかと思います。しかしデメリットはつきもの。

きちんとカウンセリングを行い、個人に合った治療法を提案してくれるクリニック・医師で、しっかりとした実績があるところを選ぶようにしましょう。

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岩井 謙治院長

この記事の監修

銀座みゆき通り美容外科大阪院 
岩井 謙治 院長

経歴

2004年
神戸大学医学部医学科 卒業
2006年
金沢医科大学病院 形成外科 入局
2011年
京都大学病院 皮膚科 入局
2011年
兵庫県立塚口病院 皮膚科 医長
2013年
北山武田病院(旧城北病院) 皮膚科 美容皮膚科 医長
2015年
銀座みゆき通り美容外科大阪院 院長 就任

<所属学会・団体>

  • 日本美容外科学会
  • 日本美容外科医師会
  • 日本形成外科学会(形成外科専門医)
  • 国際形成外科学会
  • 日本皮膚科学会
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