たるみの原因
昔は疲れたときや寝不足のときにだけできていた目の下のクマ。最近はなぜか消えずに残っているな……と思うとき、それはクマではなく、“たるみ”かもしれません。たるみによって目の下に影ができ、黒いクマのように見えてしまっているのです。
目の下のたるみの原因とは
- 目の周りの筋肉の衰え
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目の周りには骨がなく、骨の代わりに「眼窩脂肪」が眼球を支えています。そして「眼窩脂肪」は、表情筋の一つである「眼輪筋」と、「眼窩隔膜」が支えています。
「眼輪筋」は筋肉なので、そのほかの身体の筋肉と同じで、年齢とともに筋力が衰えていきます。「眼輪筋」の筋力が衰えると「眼窩脂肪」を支える力を失ってしまい、眼球の重みに耐えられなくなった「眼窩脂肪」が重力に負けて垂れ下がります。目の周りの皮膚は、全身の中で皮膚が薄いと言われる顔の中でも特に薄く、伸びやすいため、垂れ下がった「眼窩脂肪」がいとも簡単に目の周りの皮膚を押し出し、それがたるみとなってしまうのです。
- 皮膚の弾力の低下
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先ほど、垂れ下がった「眼窩脂肪」が目の周りの皮膚を押し出すと書きましたが、その皮膚に弾力があり、垂れ下がってくる「眼窩脂肪」を押しとどめることができれば、たるみにはなりません。つまり、その皮膚自体の弾力が低下し、伸びやすくなっていることも、たるみをつくってしまう原因の一つなのです。
皮膚の弾力は、お肌の深部に存在する「真皮」に含まれているコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が減少することによって失われます。これらの要素は、加齢のほか、紫外線に当たることによっても減少してしまいます。
また、アイメイクを落とそうとしてゴシゴシこすってしまうのも、目の周りの皮膚を伸ばす原因になります。アイメイクは専用のリムーバーを使って優しく落とすなど、極力こすらないよう気を付けましょう。
- 無表情
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在宅で仕事をしている、あるいは専業主婦をしていて、あまり外の人と触れ合う機会がないといった場合、表情筋をあまり使わずに日常を過ごすことが多くなり、目の周りの筋肉「眼輪筋」が衰えやすくなってしまっていることがあります。自分が普段どんな表情をしているかどうかは、意識していなければ分かりません。緊張感をもって人と接することが少ないという人は、今一度自分の生活を振り返ってみましょう。
- スマートフォンやパソコンなどの操作
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スマートフォンをいじっている時間が長い、仕事中はずっとパソコンの画面を見つめているといった人も、まばたきの回数が減ることによって目の周りの筋肉「眼輪筋」を使う機会が減り、筋力が衰えやすくなります。
パソコンやスマートフォンをいじっているといつの間にか姿勢が悪くなってしまうという人も要注意です。猫背になったり、無理な姿勢を続けたりすると、顔の筋肉が下方向に引っ張られ、結果的にたるみにつながっていってしまいます。
- 目の周りのむくみ
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今日はなんだか目の下のたるみが目立つなというときは、目の周りのむくみが原因かもしれません。むくみは、たるみを目立ちやすくします。
むくみの原因は、塩分の取りすぎや睡眠不足など。お酒を飲んだ日の翌日は顔がむくんでしまうという人も多いかもしれません。毎日むくみの原因をつくったり、むくみを放置したりということを続けていると、むくみによって伸びてしまった皮膚が元の状態に戻らなくなり、たるみにつながっていきます。一時的なものだからと軽く見るのは危険です。
- コンタクトレンズ
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視力が悪く、日常的にコンタクトレンズを使用しているという人も、要注意です。コンタクトレンズを使用している人は、使用していない人に比べてレンズの脱着時や乾燥などによって目の周りの皮膚を触る機会が多いため、目の周りの皮膚に多くの刺激を与えることになり、皮膚をたるませてしまいます。
目の下のたるみのケア方法
- 目元専用化粧品によるケア
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目の周りの皮膚には、とにかく刺激が大敵。顔全体に使用している化粧品だけで済ませるのではなく、アイクリームなど、目の周りの専用ケア化粧品を使ってみましょう。特に、ハリをアップさせるコラーゲンやヒアルロン酸が多く含まれているものがおすすめです。
- エクササイズで「眼輪筋」を鍛える
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身体のほかの筋肉と同じように、目の周りの筋肉もエクササイズで鍛えることができます。簡単で、いつでもどこでもできるのは、下まぶたをゆっくり上下するエクササイズ。家の外でやっていたとしても、大きく表情をゆがませるわけではないため、周りの目を気にせずにちょっとした待ち時間などでできます。
- 美容治療による改善
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化粧品やエクササイズによるケアは、たるみがすぐに改善できるというものではありません。成果を信じて毎日続けることが必要になりますが、すぐにでも結果がほしいという人もいるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、美容治療です。目元のたるみは、主に「経結膜脱脂法」「脱脂リポ法」「脱脂Wリポ法」「脱脂コンデンスリポ法」などで治療を行います。
「経結膜脱脂法」は、下まぶたの裏側からレーザーメスを用いて目元のたるみを治療する方法です。また、「経結膜脱脂法」のみでは十分に治療しきれない場合は、「脱脂リポ法」「脱脂Wリポ法」「脱脂コンデンスリポ法」のいずれかも併用し、目の下に脂肪を注入することでふくらみをもたせ、くまやたるみを解消します。美容治療は長期的な効果が望めるため、高価な化粧品を使い続けて改善を狙うよりも、良好なコストパフォーマンスで高い効果が得られるかもしれません。
この記事の監修
銀座みゆき通り美容外科大阪院
岩井 謙治 院長
経歴
- 2004年
- 神戸大学医学部医学科 卒業
- 2006年
- 金沢医科大学病院 形成外科 入局
- 2011年
- 京都大学病院 皮膚科 入局
- 2011年
- 兵庫県立塚口病院 皮膚科 医長
- 2013年
- 北山武田病院(旧城北病院) 皮膚科 美容皮膚科 医長
- 2015年
- 銀座みゆき通り美容外科大阪院 院長 就任
<所属学会・団体>
- 日本美容外科学会
- 日本美容外科医師会
- 日本形成外科学会(形成外科専門医)
- 国際形成外科学会
- 日本皮膚科学会